女領主とその女中 あとがき

ネタバレがありますので最終話まで読了してからの閲覧をお願いします。

ふりかえって


ハロウィンみたいな雰囲気の短編を書こうと思って書き始めたのがこのお話でした。
私の中では悪魔とか悪魔祓いとかそういう感じのノリがハロウィンだったんです……。
加えて当時、私の中で以前にもまして百合が大ブームでしたので、思い切ってどきどきしながら「ガールズラブ」のタグをつけたのは良い思い出。ちゃんと読んでくださった方がいてよかった。
最初はどこまでGLになるか分からなかったのですが、終わってみたらかなりGLだったので、カテゴリを「ファンタジー」じゃなくて「恋愛」にしてもよかったのかなってちょっと思いましたね。

正直書いていて楽しかった、それが本当に良かったと思います(自己満足)。
あと、本当はこんなにダークな話にするつもりでもなく、ほのぼのとした日常を漫画みたいに書けたらなと思っていたのですが、無駄に重たくするいつものくせが出てしまいました。
ロアとマリアが出会う頃のお話も途中で挟もうとしたのですが、それはそれで暗くなりそうだったので途中まで書いてやめました。
結構書き進めて没になった話が多いのもこの作品の特長……。
なので、webに掲載したお話はどの話もわりと思い入れがあります。
「ボルドウの女領主」と「領主と幽霊」は西洋風にわりと気取って書いていたのですが、「領主と満月の夜」は吸血衝動など趣味を小出しにして、「領主と放浪家庭教師」はライアとロアの下世話な会話を楽しく書かせてもらいました。

キャラクターについて


■ロア・ロジェ・クロワ

赤毛、金眼が特徴的なボルドウの女領主。21歳。3年前に唯一の肉親であった父を亡くして家督を継がざるをえなくなった。
生まれつきの悪魔憑きではあるが、吸血衝動に目覚めたのは13歳の頃。マリアが屋敷に来る前は定期的に父の血を吸って過ごしていたので(それがかつてのクロワ家の女中アリシアを狂気へと向かわせた一因でもある)、父親が亡くなったときに実は自殺も考えており、マリアが来なかったらその道をたどっていた可能性も。

昼間はお気に入りのロッキングチェアに揺られていることが大半だが、事務的な仕事は夜中にきちんとこなしている模様。(もともとボルドウは自治組織がしっかりしているので、領主はあまりそこに干渉しない)
女性らしくない名前を本人は実はあんまり気に入っていなかったが、マリアに名前の意味を説かれて、今はわりと気に入っている。ミドルネームは顔も知らない祖母の名前。
ロアの母親は彼女が産まれてすぐに亡くなっており、厳格で無口でとっつきにくい父親が苦手だったので男性というものに良い印象がなく、「男嫌い」で通しており、実際無意識だが男性には一定の距離をとっている。
ロア本人は否定するが、1か月間だけクロワ家に家庭教師としてやってきたライア・ロビンソンの影響をかなり大きく受けており、酒好きでフェミニストな部分やお嬢様なのに妙にラフなところは特にライアの影響。わりとむっつりスケベなのは本人固有の性質。

とにかくマリアが可愛くてしょうがない。
……というのもあるが、本編でも当人が語ったように、「ずっと一緒にいたいけど叶わないならはやく殺してほしい。自分の想いに気づいてほしいけど気づかないままでもいてほしい」など、割と複雑な感情をマリアに抱いていた。要するに「ずっと一緒にいたかった」の一言に尽きるが、(マリアはそれを望んでいたのに)臆病な本人はそれを言いだせず。
彼女が一番願っていた「永遠」を、ジェフが容易く口にしたことに怒り、死んでも死にきれずああいう結果に。
本来、ロアにとり憑いているクロワ家の呪いの悪魔にもそれ固有の人格があるが、今は溶け合っている状態。何かの拍子に出てくるかも。



■マリア・マグナス

栗色の髪と瞳の清楚な少女。16歳。
幼い頃から魔に好かれる体質で、3歳のとき両親が事故死した後親戚に引き取られたが、彼女の周りで不思議なことが起こるため気味悪がられ捨てられてしまった。
その後ある悪魔の手助けもあってどうにか教会の息のかかった孤児院兼修道院に自力で辿りつき、そこで過ごしているときにたまたま訪れたマグナス神父に見いだされる。

当初は師の命で、悪魔祓いの身分を隠してクロワ家に女中として入ったが、その後アリシアの件を経てロアと例の約束を交わす。

閉鎖的な世界で過ごしていたこと&師匠の周りには悪魔ばかりで人間はあまり寄り付かなかったので、正直恋とか愛とかそういったものには疎い。
ロアに対する感情も、当初はどちらかというと家族への親愛に近いものであったが(ロアもそれは分かっていた)、それも徐々に変化。自覚するにあたってはロンディヌスでの出来事が大きい。

チョコチップクッキーが子供のころからの好物で、厨房の棚の奥にストックを隠し持っている(たまにロアがこっそり補充している)。雲のようにつかみどころのない師匠の背中を見て育ったので、逆に頑固でかっちりした性格に。
可愛げのない物言いが多いが、なんだかんだで世話焼きで優しい上に、初対面の客人などには柔らかく対応するので、わりと誰にでも好かれる(ロア様嫉妬大爆発)。



■クレセント・J・マグナス
丸眼鏡の若作りの神父。見た目は30代半ばだが、詳しい年齢は不詳。悪魔祓いとしては特異な存在で、数多の悪魔と契約しそれらを使役している。冗談抜きに本気を出せば国ひとつ簡単に潰せるので、教会本部からは畏れられており、「魔王」と呼ばれている(シヴァなどの男性型の悪魔はその二つ名を誇らしく思い、女性型悪魔のリィなどはダサいあだ名でカッコ悪いと思っている)。
その二つ名にふさわしく、昔はそこそこやんちゃをしたこともあったが、マリアを養女として引き取ってからは、わりと大人しくしている。
師匠としては、弟子のマリアが様々な経験を経てたくましくなっていくことを陰ながら見守りたいらしいが、親としてはマリアがずっとロアの屋敷に居続けることについては寂しく思っている模様。



■サキュバスのリィ
自由奔放な女性型の淫魔。性には奔放だが、自身でも言っていた通り働き者で、常にマグナス神父とは近い距離にある(ただしそこに肉体関係はない)。
作中ではロアを気に入っており彼女にちょっかいをかけにいっているが、それ以前にマリアのことをなんだかんだで(可愛げのない)妹のように思っており(マリアが幼い頃からわりと面倒をみている)、そのマリアが執着するロアに対し興味を持ったという……。
軽薄な態度が多いが、実は魔王が使役するにふさわしい、高位の悪魔。



■ライア・ロビンソン
またの名をアマゾーヌ。元悪魔で、現在は魔女のような存在。
かつてはマグナス神父のもとにいたこともある高位の悪魔。この人も実は元吸血種。
困っている女性を見ると助けたくなる性質らしく、そういう行為から魔的要素が抜けていった。
1か月間だけの教え子であったロアのことも気にかけており、「そろそろかな?」と思った頃にマグナス神父からの手紙を受け取ってふらっとボルドウにやって来た。
ちなみに、空き巣をして生計を立てていたロンディヌスのアビーが、足を洗ってバーを経営し始めたのもこの人の影響。
自他ともに認めるスケベでセクハラ大魔神。



そのほかのキャラクターもわりかし気に入っているキャラが多いです。
また、ジェフを凶悪犯に目覚めさせた「死神」と名乗る男などもどこかで掘り下げたいですね。

ロンディヌス編

本作品のメインといえばメインだったのですが、かなりハードなことをしてロアやマリアには大変申し訳なかったなと。
大方書き終えたあと、マリアが怒りっぱなしであんまり活躍できてないなあと思いながらも、どちらかというとマリアはヒロインの立ち位置なのでそのままに。
マリアの武器がやたらジャパニーズなのは私の趣味です。メイドに刀とか女子高生に刀並みに最高じゃない?

思い入れが強いのはやはり最終回とエピローグです。
序章でロアが「私を殺していいのはマリアだけ」とか言ってるわりにロアが一度殺される、という形からああいうふうに終わるのに少し躊躇があったのですが、最終回、勝手に筆が進んだというか初めてキャラが自分で動いてくれたような気がしてとても嬉しかったのを覚えています。
そして私は書きながらガチ泣きを(笑)。

一応ひととおり書き終え、推敲しながらお話を毎日公開していったのですが、最終回をアップする前にやはり躊躇しはじめ、セリフの細かい部分をマイナーチェンジしながらあの形に落ち着きました。

考えると、ロアは悪魔のふりをしてマリアに会いにいくのですが、淡々と今までの想いをしゃべっている間、ずっと泣くのを我慢してたんだろうなと思うと「こいつ〜」ってなります(親ばか)。
ちなみにあそこでマリアが、あのロアをロアだと言ってくれなかったら素直に消えています。

あそこで初めてロアとマリアの想いがかみ合ったというか。よかったなあと。

余談だし変態ですがエピローグのベッドのシーン(苦いお薬を口移し→押し倒す)は、ロンディヌス編を書きはじめる前からずっと温めていたエピソードなので実際に実現できてよかったなって思います。
総じて趣味が大爆発しました。ありがとう日本。
またぼちぼち漫画とか描きたいなと思ってるので、まだ終わりたくないなというのが本音です。
今後の展開も温かく見守っていただけたらと思います。

2017年8月20日